CDにも使われるポリカーボネート
6章で紹介したエンジニアリング・プラスチックの中で代表的なものとして ポリカーボネートがあります。カーボネートというのは一般に炭酸(H2CO3) と塩基から作られる塩を指しますが、ポリカーボネートのもとになるモノマー は通常、炭酸エステルです。
ポリカーボネートの最大の活躍の場といえば、年間200億枚出荷されると いう光ディスクでしょう。デジタル情報はアルミニウムや銀からなる反射層の ピット・パターンとして表わされるのですが、それをラベルの反対側で保護し ているのがポリカーボネートなのです。情報はラベルの反対からレーザーで読 み取られますから、当然透明でなければ意味がないわけです。そしてそれぞれ の反射層の幅は0.5~0.8ミクロンくらいですから、保護層にもかなり高い寸法 精度が要求されます。簡単に伸縮しては困るのです。またLPと違って多少の 傷は信号処理でカバーできるのですが、やはりそれにも限度がありますから、 できるだけ傷がつかない方が望ましい。さらに落としてしまうことも当然考え られますから、衝撃にも強い必要があります。そして氷点下から50度くらい まで、それなりの高温低温にもよく耐えなければなりません。こういった条件 にぴったりなのがポリカーボネートなのです。
ほかに、コンパクトディスクのプレイヤーの方でレーザーを集光するレンズ、 液晶画面などを通じて情報入力を行うタッチパネル、有機ELディスプレイ用 基板、液晶ディスプレイの位相補償、それに比較的近距離の光ファイバー芯材 など、なぜかITや映像に関連したハイテク分野の中で、ポリカーボネートの 活躍が期待され、また一部実用化されています。自動車のヘッドライトカバー にも使われています。
なお光ディスクの保護層を、紙やトウモロコシでんぷん樹脂で作ろうという 動きもあります。ただしその場合も、記録膜のすぐ近くや最外面にはポリカー ボネートが使われるようです。
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