松下電工のFRPリサイクル技術:プラスチックの勉強資料

松下電工のFRPリサイクル技術

松下電工のFRPリサイクル技術

FRPとは10章で述べたように繊維で補強したプラスチックで、特にガラス 繊維が典型的に使われます。熱可塑性ではなく熱硬化性なので、暖めることに よる再成型ができず、したがってリサイクルが難しいという弱点があります。

松下電工は2006年9月25日、FRPの各成分のほぼ全体をリサイクル する技術を開発したと発表しました。亜臨界水分解、およびスチレン-フマル酸 共重合体という機能性高分子の改質技術が中心となっています。

水はある温度以下だと、気体と液体の境目となる飽和水蒸気圧を持ちます。 その温度は374℃で、そこにおける飽和水蒸気圧は22.1MPaです。374℃22.1MPa という状態を臨界点と呼びます。飽和水蒸気圧を超えても液体として多少存在 は許され、その状態(臨界点温度よりは低いがかなり高温)を亜臨界水といい ます。加水分解に必要なイオン積が常温の約1000倍であり、また誘電率が 有機溶剤並みに下がって樹脂とのなじみが良いので、強力な加水分解能を持つ という特色があります。

一方、今回開発された改質技術は、スチレン-フマル酸共重合体という機能性 高分子に対し、「塩化ベンジル」と「相間移動触媒」を作用させて、スチレン- フマレート共重合体という低収縮剤としての新機能性高分子を得る技術です。

全体の流れとしては、FRPを亜臨界水分解することで、樹脂原料、スチレ ン-フマル酸共重合体、それに無機充填材やガラス繊維粉砕物を得ます。そして 樹脂原料は適宜新品原料と混ぜて再生樹脂の元とします。スチレン-フマル酸共 重合体は、先ほど述べた改質技術でスチレン-フマレート共重合体となります。 無機充填材やガラス繊維粉砕物も適宜再生材とします。さらにこれらを新品の 原料と混ぜ合わせることで、成型前の再生樹脂シートが得られます。それを熱 硬化成型することで、リサイクルが完了します。

松下電工によると、熱硬化性樹脂の70パーセント、無機物の95パーセント、 FRP全体では80パーセントの再資源化を実現したということです。

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